2009年の全国での出火件数は51,139件、うち建物火災は28,372件、死傷者は9,531人です。 建物火災の1日当たりの出火件数は77件で、19分に1件の割合で出火していることとなり、コーヒーを飲んでほっとしている間に1件の火災が発生している計算です。
とはいえ、これまで火災事故に遭遇した経験がない限り、なかなか実感を伴わないのも事実で、火の元に気をつけてさえいれば、火災は発生しないと多くの人が考えています。
確かに気をつけていれば火災は防ぐことができる側面はありますし、火の元に注意することは非常に大切なことです。
建物火災の発生原因を見てみると、第1位が「ガスこんろ」です。これは不注意が原因だと考えられるため、気をつけてさえいれば防ぐことは可能です。
しかし出火原因の第2位は「放火」(10.7%)となっています。放火は、自分の不注意とは別のところで発生してしまいますので、いくら注意しても防ぐことはできません。放火の疑いも加えると17.4%と、第1位とほぼ同率を占めています。しかも、死者が出た火災の第1位が放火で27.4%、放火の疑いも含めると10件に3件の割合で死者が出ています。
防ぐことができる側面という点は、放火のように自分の注意や努力では防ぎようのない側面もあるからなのです。さらに言うならば、いくら出火しないように気をつけていても、隣の建物が火事になり飛び火する可能性も否定できません。
自分で注意するだけでは、完全に火災を防ぐことは難しいのが現実です。