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【防災コラム】 : 火災に備える
有毒ガス・煙の危険性

有毒ガスの危険性

有毒ガスを含む煙が危険だと知っても、一酸化炭素シアン化化合物などの名称にはあまり馴染みがなく、その名称を聞いてもどの程度危険なものなのかよく分からないでしょう。そこで、有毒ガスを吸い込むとどのような症状が出るのか、火災発生後どの程度で致死量に達するのか、などについて、有毒ガスで最も発生する可能性の高い一酸化炭素を例に説明いたします。

一酸化炭素は、無味無臭のため感知することが難しく、事前に危険を察知することが難しい有毒ガスの一種です。
吸い始めのうちは、頭痛・耳鳴・めまい・嘔気などの症状が出現します。さらに吸い続けた場合、意識はあっても徐々に体の自由が利かなくなってきます。視界が狭くなり、目が見えなくなり、立っていることもできず、その場に倒れ込んでしまい、意識はあるものの体が動かない状態に陥ります。そのうち意識もなくなり、窒息死してしまいます。高い濃度の一酸化炭素を吸った場合には、その場で昏睡状態に陥ります。
いずれにしても、その場から動けず高濃度の一酸化炭素をそのまま吸い続けることは、窒息死につながってしまいます。

実験では、一酸化炭素は発炎後約8分で短時間致死濃度である1.3%に達し、シアン化水素は発炎後5分で短時間致死濃度に達してしまう結果が出ていて、これは発炎後10分も経たないうちに致死量の有毒ガスが発生することを示しています。

短時間で大量の有毒ガスが発生した場合、瞬く間に拡散してしまいますので、火元から離れて初期消火活動をしていた人でさえ、有毒ガスにまきこまれて亡くなるケースもあるほどです。

煙の危険性

火災の熱で空気より軽くなった有毒ガスを含む煙は、瞬く間に廊下や部屋などの空間に充満することになります。
あるビル火災で逃げ遅れた被害者の方は、泣きながら携帯電話で話していましたが、最期の言葉は「天井が落ちてくる」という言葉でした。火災後の現場検証では、天井が焼け落ちたという事実はありませんでしたが、被害者の方は、なぜそのようなことを言ったのでしょうか。

煙による被害を抑えるために、実際に建物を燃やしてどのように煙が充満していくのかを確かめるため、建物内部の様子をテレビカメラで撮影した実験がありますが、その映像では、軽くなった煙が天井にまで充満し、その後、床に向かって下りてくる様子が写っていました。まさに天井が落ちてくるかの如く、一様に広がった煙がズンズンと下りてきていました。被害者の方も同じ状況にあったことが予想されます。
有毒ガスのために体が動きにくくなっているところに、天井が落ちてくるかのような状況に遭遇してしまったら、パニックに陥ってしまい、安全に避難することは難しくなるでしょう。

煙の充満・移動速度を考えると、床を這って避難していても煙に巻かれてしまいますので、安全を確保するためには早い段階から身を守る必要があります。